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東京と北欧諸国:新たなイノベーションハブの誕生


Trusted株式会社CEO Fariza Abidova


2021年1月22日、Trusted株式会社は森ビル株式会社、CIC Tokyo、デンマークのNPOであるイノベーション・ラボ・アジア(ILA)、ノルディックイノベーションハウス東京と合同で、北欧スタートアップと日本企業とのオープン・イノベーション戦略をテーマとした

と題した合同イベントをCIC Tokyoにて開催した。

国内外から250名余が参加し、大盛況を収めたこのイベントでは、オープンイノベーションの成功事例をもつ日本企業と北欧のスタートアップがそれぞれの事業分野及び研究内容を披露。

世界で最も高齢化が進んでいる国の1つである日本が求めるヘルスケアの課題に対する解決策を模索・考察する機会を得た。

以下に、アグレッシブに進化している日本のエコシステムの今と日本企業と北欧を含む欧州スタートアップにおける、ヘルスケア及びその他の分野でのオープンイノベーションのポテンシャルを登壇順に紹介していく。



東京都が打ち出した海外企業誘致のためのビジネス支援大規模インフラ構築

(東京都戦略政策情報推進本部戦略事業部特区・戦略事業推進課)

まず、東京都より現在イノベーション活性化に向けて打ち出されている施策についての解説があった。

東京都は、2020年にスタートアップ支援やオープンイノベーションの実現に向けた大きな計画「東京コンソーシアム」を発表した。と同時に日本のスタートアップや研究機関との共同プロジェクトに参入する大手企業にその事業化及び販路開拓に要する経費の一部を補助する新制度も設置。さらに都は内閣府指定グローバル拠点都市としての経済特区を指定しており、本社を経済特区に置くことで、税制優遇措置、補助金、低金利融資、外国人スタッフのための入国審査の簡素化、特許出願や投資手続きの支援などさまざまな恩恵を受けることができるようインフラを整備した。

このように現在東京都は先端的な海外企業の誘致に対してアドバンテージを取り、東京都がスタートアップ・エコシステムグローバル拠点都市となるべく様々な支援を打ち出した。

日本はアジアの中でもグローバル企業が多く、ビジネス環境が整備され、人的法的な観点からも安心安全なビジネス大国という自負がある。

今回の東京都の施策は今後海外企業の日本進出を大いに後押しし、東京発の多種多様なイノベーション発生を大いに期待させるものである。



Face to Faceの環境確保こそ重要

(森ビルオフィス事業部営業推進部兼企画推進部)


森ビルと共にイノベーションに取り組む


続いて、森ビルによるスマートシティの未来についてのプレゼンテーションが行われた。

森ビルは、経済特区に位置するランドマーク的存在のオフィスビルであり、東京の現在のスカイラインを形成しているといっても過言ではない、日本で最も評価の高い有名ディベロッパーの一つだ。

この1年半の間、我々はリモートで生活し、リモートで仕事をこなしてきた。しかし本来日本では対面でのコミュニケーションこそビジネスの基本とされてきたのであり、いくらリモートでのビジネスが普及したとはいえ、実際に対面してのコミュニケーションに勝るものはない。森ビルはこのことをよく知っている。

よって森ビルは、イノベーションのハブ足りうる都市形成を担う立場から、都市のサステナビリティの理念に基づいて、緑に包まれ、人と人をつなぐ「広場」のような街の人間中心のスマートシティを創造しようとしている。

そんな森ビルが昨年秋に披露した最新オフィスは、2フロアをスタートアップ企業に特化した虎ノ門ヒルズビジネスタワー「CIC Tokyo」だ。

「CIC」とは1999年、米MA州ボストン/ ケンブリッジで創業し世界9都市に展開する都心型の大型イノべーションセンターである。

この最先端のオフィスとコワーキングスペースが日本初上陸。森ビルの虎ノ門ヒルズビジネスタワーに日本最大のイノベーションセンターかつ、国内最大級のスタートアップハブとして2020年10月にオープンした。

スタートアップ企業は、圧倒的リーズナブルな資金でビジネスを立ち上げることができ、広範囲にわたるネットワークを楽しむことが可能だ。また、定期的に開催されるイベントや企画では、スタートアップ企業と東京都内の有力企業をコネクトし、さらには日本の大手企業、加えて世界的な大企業とのコラボレーションの機会までも創出する。

CIC Tokyoは世界につながるイノベーション発進基地である。よって日本のスタートアップの海外進出のための情報収集、情報発信の場、日本の大手企業への情報発信やコネクション創出の場。または海外企業のアジア進出の拠点として。その活用の幅、メリットは非常に大きいと考えられる。



欧州企業とのコラボレーションに向けての提言

(Trusted株式会社)

欧州に特化したスタートアップ情報提供および日本企業と欧州企業の効果的なコラボレーション機会提供を支援するTrusted株式会社CEO Fariza Abidovaは、オープンイノベーションプロジェクトを成功させるための確固たるフレームワークについて下記の提言を行った。

Trusted社がイベント後に行ったアンケート調査では、驚くべき数字が出た。66人の回答者のうち90%がオープンイノベーションプロジェクトを始めたいと回答したものの、その準備ができていると回答したのは僅か5%に留まったのだ。オープンイノベーションのビジネスプランを開発するための基本的なステップはもちろん、適切な専門家チームの編成、そして適切な予算の確保と現実的なタイムラインのプランニングが必須である。また、コラボレーションで目的の結果が得られない場合に備えて、緊急対応(プランB)についても事前準備しておくことも必要であると述べた。

さらに、欧州企業と日本企業は素晴らしいパートナーとして国境を超えた相乗効果の高いコラボレーションが実現できると言う。

その理由は両者の文化には「モノ造り」の考え方がベースにあることから、細部にまで注意を払って計画を立てるため、長期的なプロジェクトを高い成功率で実現することが可能なのだ。

にもかかわらず、両者は未だ親密な関係には至っていない。それは欧州といっても多くの国があり、情報が膨大すぎるため、どの情報をピックアップすべきかに迷い、実際のコミュニケーションに至るまで時間がかかりすぎてしまっているからだ。

よって、効率の良いハイクオリティな自社に合った欧州スタートアップのピックアップから始めることを推奨する。



日本と北欧諸国のコラボレーションによる新たなイノベーションの幕開け

(Nordic Innovation House・Innovation Lab Asia)


北欧スタートアップエコシステムの紹介


Nordic Innovation HouseInnovation Lab Asiaによると、北欧諸国と日本の間には潜在的なニーズの一致が見られるという。

その理由は、一方はヘルステックイノベーションのホットスポットであり、もう一方はまさにそれを切実に必要としている国だからだ。

北欧諸国とはスカンジナビア諸国(デンマーク、スウェーデン、ノルウェー)のほか、フィンランド、アイスランド、エストニアなどを含むエリアを指すが、このエリアには多様なスタートアップエコシステムが存在し、同時にユニコーン企業の出現数が圧倒的に多いという特徴をもつ。

このエリアにおけるスタートアップおよびユニコーン企業出現のクラスターが、北欧のヘルステック・オープンイノベーションのリーダーとしての地位を確立した。HealthTech Hub Copenhagenの発表によると、これは主に以下3つの要因によってもたらされたという。

・北欧の医療提供者は、スタートアップであっても、イノベーションのトライアルを実施することにオープンである。

・人材獲得と資金調達の面で強いアカデミックな環境がある。

・スタートアップに株式を手放すことを強制しないNon-dilutiveな資金調達手法が推奨されている。



ヘルステック産業規模はさらに拡大

一方、世界で最も高齢化が進んでいる日本では、患者の生活をより快適にし、医療制度を楽にするイノベーションを取り入れたいと考えている。

今回のイベントでは、3つの有望なスタートアップがピッチを行ってくれた。

Walk With Path(デンマーク)

パーキンソン病などの難病に苦しむ人々の歩行や転倒防止を支援する革新的な製品(レーザーシューズと考えてください!)を開発し、数々の賞を受賞。

Popit(フィンランド)

薬のブリスターパックに小さなブルートゥースクリップを取り付けることで、スマートフォンが自動的に患者に薬を服用しなければならないことを通知。 (服用を忘れた場合にのみ通知)この便利で状況に沿ったシステムは、飲み忘れを防ぎ、患者の服薬遵守率を80%にまで向上させることに成功した。

Cognuse (エストニア)

Cognuseは、医療従事者と患者のためのデジタルヘルスソリューションを構築しており、ガイドラインの遵守、ケアの質、患者の安全性、そして治療の過程を通じての患者の回復結果の向上に焦点を当てている。



パネルディスカッションで明らかになった日本のオープンイノベーションの方向性における明確なニーズ



ニチガスの成功事例

(日本瓦斯株式会社)

日本と北欧が実際にどのようにパートナーシップを結び、継続させているのか。

このイベントの最後に登壇した日本瓦斯株式会社(以下「ニチガス」)は、エストニアのスタートアップとオープンイノベーションプロジェクトを成功させた実績をもつ。

日本最大級のガス事業者であるニチガスの当時の課題はデータ管理と決済システムのデジタルトランスフォーメーションだった。

なぜエストニアのスタートアップとパートナーを組むに至ったのか。以下3つの理由が紹介された。

1)エストニアはAIからブロックチェーン、デジタルIDにおいて超先進国である。

- ニチガスは、エストニアや他の北欧諸国において、すでに先進技術がシームレスに統合されていることに高い関心をもっていた。またエストニアはすでにSkypeやSpotifyのようなスーパースターユニコーン出現を含むエコシステムの発展の恩恵を受けていたこともあり、外国企業からのオファーに対してもオープンな環境が備わっていた。

2) 地理的優位性。

ヘルシンキへの直行便を利用した後、プロジェクトマネージャーは13時間以内にエストニアの首都タリンに到着可能です。さらに時差があるので、同期作業のためのオーバーラップ時間が十分に確保できた。

3) 文化の一致。

ニチガスは、エストニアのパートナ−たちがオープンマインドで前向きな人たちであることを知り、またリーンマネジメントの文化によって、物事を素早く好転させることができる機動性に感銘を受けた。

このように、オープンイノベーションにおいて、まずは必要とする世界的にハイレベルな技術をリサーチする、ということはもちろんなのだが、文化の一致についても非常に重要であることが明らかとなった。円滑なコミュニケーションこそオープンイノベーションを加速させる。この大前提に組みできる文化を持つパートナーを見つけることがオープンイノベーションへの第一歩といえるのではないだろうか。


Contacts

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