欧州委員会が発表した欧州のデジタル変革の構想と施策をまとめた「AI白書 」によると、DXは美術館などの芸術分野でも推進されているようです。
イタリアの新テクノロジー、新エネルギーおよび持続可能な経済発展に関する研究開発部門ENEAは、芸術作品の魅力や価値を可視化するプロジェクト「ShareArtプロジェクト 」を発表し、2021年7月からIstituzione Bologna Musei(ボローニャ美術館)での稼働をスタートさせています。
これは、来館者に直接干渉することなく、カメラでいくつかの行動指標を監視・記録することによって得られた情報を複数のビッグデータに照合し、来館者の芸術作品に対する評価を「測定」するものです。
このシステムは、既に市場にあるデータ取得デバイスで構成されており、カメラを搭載して情報を収集し、専用のWebアプリケーションを介して中央ストレージおよび処理サーバーに送信、即座にインタラクティブな多次元分析を行います。
これは何を意味するのでしょうか?
これは美術史上初めて、来館者が作品をどのように感じて鑑賞したか、その知覚と動作を可視化するための研究なのです。
作品の近くに設置されたカメラは、作品を見た顔を自動的に検出すると同時に、例えば、作品に近づくまでの道のり、作品を鑑賞した人数、鑑賞時間や距離、鑑賞した人の性別や年齢層、感情など、作品を鑑賞する際の行動に関する一連の情報を収集します。
そしてビッグデータと照らし合わせ、見る人がどんな作品に注目する傾向があるかを判断します。
今回のプロジェクトを通じて、アート作品の平均観察時間は鑑賞者1人あたり約5秒で、15秒以上も鑑賞者を飽きさせない作品はわずかであることも判明しました。
また、このシステムは、コロナ禍での安全衛生上の取り組みとして、会場でのマスク装着やソーシャルディスタンスが守られているかどうかを検知するのにも役立つことがわかりました。
これらの行動データは、コロナ禍による観光や文化活動の低迷からの回帰に向け、展示をより魅力的なものに最適化することで、美術館の来館者数を増やすためのマーケティングツールとして活用することができます。
Istituzione Bologna Musei(ボローニャ美術館)の社長であるロベルト・グランディ氏は、「来館者の作品に対するアクセス方法、鑑賞態度、鑑賞時間などは、美術館の学芸員が来館者の行動をより深く理解するのに役立ち、研究者は大量のデータの収集・分析から、鑑賞行動におけるの知覚と行動の関係性についてより深い知識を得ることができる」と述べています。
ENEAとIstituzioneBologna Museiのコラボレーションは、エミリア・ロマーニャ地域が強く取り組んでいるビッグデータの研究開発の一環であり、国際的にみても重要なコンピュータ開発、スーパーコンピュータ、ビッグデータ、AIの専門知識開発に貢献しています。
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